計算方法
このページでは、MogWatchが利上げ・利下げの確率と政策金利見通しをどう計算しているかを、順番に説明します。
要約
- DTCCが公開しているOISの取引から、市場が見込む政策金利の変化幅を求めます。
- 変化幅を25bp刻みの隣り合う2つの結果に割り振り、利下げ・据え置き・利上げの確率にします。
- 計算できる会合だけを、次回会合から続けて表示します。
元になるのは、DTCCが公開しているOISの取引です
OIS(翌日物金利スワップ)は、ある期間の翌日物金利の平均と、あらかじめ決めた固定の金利を交換する取引です。固定の金利には、「その期間の翌日物金利はこのくらいになる」という市場の見込みが表れます。
翌日物金利は、中央銀行の政策金利とほぼ同じ水準で動く短期の金利です。そのため、OISの金利を見ると、市場が見込む政策金利がわかります。
米国では、こうした取引の記録をDTCC(米国のスワップ取引の記録を公開している機関)が公開しています。MogWatchは、この記録から7つの通貨のOISの取引を集めています。通貨ごとに使う参照金利は次のとおりです。
| 中央銀行 | 政策金利 | OISの参照金利 |
|---|---|---|
| FED(FRB) | FF金利の誘導目標(レンジの中央値) | SOFR |
| ECB | 預金ファシリティ金利 | €STR |
| BOE | バンクレート | SONIA |
| BOJ(日本銀行) | 無担保コール翌日物の誘導目標 | TONA |
| BOC | 翌日物金利の誘導目標 | CORRA |
| RBA | キャッシュレートの誘導目標 | AONIA |
| RBNZ | オフィシャル・キャッシュ・レート(OCR) | NZIONA |
確率は4つの段階で計算します
- 会合と会合のあいだの金利を取り出す。会合のあとに始まり、次の会合の前に終わるOISを選びます。この取引の金利は、「その会合で決まる政策金利が続くあいだ」の市場の見込みです。直近の取引の金利を並べ、真ん中の値(中央値)を使います。極端な値に引っ張られにくくするためです。会合の直前で、会合のあとに始まる取引が足りないときは、会合をまたぐ短いOISから、会合のあとの金利を逆算します。
- 政策金利の水準に直す。参照金利は、政策金利とぴったり同じではなく、少しずれます。このずれ(ベーシス)を、公表された参照金利や市場の取引から測り、差し引きます。
- いまの政策金利と比べる。直した金利からいまの政策金利を引くと、市場が見込む変化幅がわかります。いまの政策金利は、各中央銀行の公式の発表で確かめた、いま適用されている金利です。FRBは、誘導目標のレンジの中央値と比べます。
- 確率に割り振る。変化幅を、0.25%(25bp)刻みの隣り合う2つの結果に割り振ります。たとえば変化幅が−10bpなら、「25bpの利下げ」が40%、「据え置き」が60%です。この2つを確率で平均すると、もとの−10bpに戻ります。bp(ベーシスポイント)は0.01%のことです。
2回目以降の会合は、前の会合からの変化幅を同じように割り振り、前の会合の結果に積み重ねて計算します。こうして、会合ごとの政策金利の予想(政策金利見通し)を作ります。
確率は、変化幅が少し違うだけで大きく動きます
確率は、変化幅を25bp刻みの結果に割り振って求めます。そのため、変化幅が1bp違うと、確率は最大で4ポイント動きます。5bp違えば、最大で20ポイントです。
たとえば変化幅が+7bpなら、利上げの確率は28%です。同じ会合でも、変化幅が+12bpなら48%、+2bpなら8%になります。5bpは0.05%にあたる小さな差です。
確率が4ポイント動いても、変化幅では1bpの違いです。確率を見るときは、変化幅(bp)もあわせて確かめます。
計算できる会合だけを、次回会合から続けて表示します
先の会合ほど、その期間の取引は少なくなります。取引が足りない会合は、確率を計算しません。
MogWatchは次回会合から順に表示し、計算できない会合が出たところで止めます。途中の会合を飛ばして、その先だけを表示することはしません。推測した値や0%で埋めることもしません。そのため、表示される会合の数は通貨によって違います。
データの更新頻度
市場データ(DTCC が公表する OIS の取引の記録)を2分ごとに確認しています。新しい取引が公表されると、その通貨の利上げ・利下げ確率と政策金利見通しをすぐに計算し直します。開いている画面は、15秒ごとに新しい値を自動で読み込みます。
取引の公表は実際の取引から少し遅れて行われます。また、DTCC の毎週の定期メンテナンス(日本時間の日曜の昼から夜まで)のあいだは、新しい取引が公表されません。そのあいだは、メンテナンス前の値をその時刻とともに表示します。
インフレ調整後政策金利は「政策金利 − 最新のCPI上昇率」です
ファンダメンタル状態と金利差マトリックスで使う「インフレ調整後政策金利」は、政策金利から、最新の消費者物価指数(CPI。ユーロ圏はHICP)の前年比の上昇率を引いた値です。
たとえば政策金利が4.00%、CPIの前年比が3.00%なら、インフレ調整後政策金利は1.00%です。
CPIは公表された実績の値です。将来の物価の見込みを使って計算する「実質金利」とは違います。
インフレ調整後政策金利は、各中央銀行の政策金利と各国の統計機関が公表した CPI をもとに MogWatch が計算した値です(公表値を加工して作成。統計機関・中央銀行はこの計算に責任を負いません)。
「3か月先」「6か月先」は、その時点の織り込みです
金利差マトリックスの「3か月先」「6か月先」は、その時点で市場が織り込んでいる政策金利どうしを比べます。2つの通貨とも、同じ取引日の市場データで計算できるペアだけを表示します。
ファンダメンタル状態の「市場の織り込み(6か月先)」は、6か月以内の会合がすべて計算できているときだけ表示します。
データの出典
| データ | 出典 |
|---|---|
| OISの取引 | DTCC |
| 政策金利・会合の日程・決定 | 各中央銀行の公式サイト |
| 参照金利の公表値 | ニューヨーク連邦準備銀行(SOFR)、欧州中央銀行(€STR)、イングランド銀行(SONIA)、日本銀行(TONA)、カナダ銀行(CORRA)、オーストラリア準備銀行(AONIA)、ニュージーランド準備銀行(銀行間翌日物金利) |
| インフレ・コアインフレ・失業率 | 米労働統計局、ユーロスタット(ECBのデータポータル経由)、英国家統計局、総務省統計局、カナダ統計局、オーストラリア統計局、ニュージーランド統計局 |
| 経済指標の市場予想 | OHLC.dev |
| 通貨先物の持ち高 | 米商品先物取引委員会(CFTC) |
各中央銀行の詳細ページにある「データ出典・計算方法」で、計算に使った入力ごとの提供元・系列・最終更新の時刻を確かめられます。
複数の中央銀行を比べるときは、傾きを見ます
確率は市場の取引から計算した値で、予想ではありません。中央銀行によって、会合の回数や政策金利の決め方が違います。複数の中央銀行を比べるときは、細かい数字の差よりも、利下げと利上げのどちらに傾いているか、そのペースがどのくらいかを見るのがおすすめです。
この数字でわからないこと
中央銀行が実際にどう決めるか。確率は市場の取引から計算した値です。予想や約束ではありません。
市場がどの結果を見込んでいるか。たとえば変化幅が+12.5bpのとき、「据え置きと25bpの利上げが半々」なのか、「据え置きが75%、50bpの利上げが25%」なのかは、取引の金利からは区別できません。MogWatchは、隣り合う2つの結果に割り振っています。
まだ公表されていない取引。DTCCの記録は、取引から少し遅れて公表されます。公表される前の取引は、確率に入りません。
関連ページ
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